福岡ゆらりさんとオカユウリさん、二人の作家による「月と太陽」という二人展を開催することになりました。
二人とも作品の基調は比較的ホワイトに近く、そして展示タイトルは「月と太陽」。
せっかく二人で展示するのに、ひとつの空間の右と左に作品を分けて、「こちらが福岡さん、こちらがオカさん」と展示するだけでは、なんとなく面白くない。
二人展だからこそ、ひとつの空間の中ではっきりとしたイメージの変化をつくれないだろうか。
そこで考えたのが、
「ギャラリーの真ん中に、壁をつくってしまおう」
というものでした。
ひとつのギャラリーを、ふたつにする
ちょうどギャラリーを半分くらいに分けられそうな場所があったので、そこに新しく壁をつくることにしました。
ただ、壁をつくって普通の出入口を設けるだけでは面白くありません。そこで壁の中央に、人が通り抜けられるくらいの小さな開口部をつくりました。
普通に立ったままでは通れない、少しかがまないと通り抜けられないくらいの高さです。
少しかがんで、その境界をくぐる。
そして、もう一度立ち上がると、そこにはもう一人の作家の展示が広がっている。
同じギャラリーの中にいるのに、身体を少し動かして境界を越えることで、別の空間へ移動したような感覚をつくれないだろうかと考えました。
「月」と「太陽」。
二人の作品をただ同じ空間に並べるのではなく、ひとつの境界を越えて、二つの世界を行き来する展示にしてみることにしました。
壁の色も変えてしまう
空間を物理的に分けるだけではなく、片側は壁の印象そのものを変えることにしました。
もともとのaL Baseは白を基調とした空間ですが、その壁の上からグレーのシートを貼り、一方の空間をグレーへ。新しくつくった壁と既存の壁を組み合わせながら、それぞれの作家の展示に入ったときの印象が変わるようにしていきました。
壁をつくり、色を変え、入口の高さまで変える。
作品を壁に掛けるだけではなく、展示する空間そのものをつくるようになってきたのも、この頃からだったように思います。
以前だったら、たぶんやっていなかった
こうした展示ができるようになった背景には、それまでの展示で積み重ねてきた経験もありました。
以前、立体作品を展示するために「台形の棚」を自作しています。そのときに丸ノコを購入して、自分たちで木材を加工するようになりました。
棚板に壁紙を貼るために、シートを綺麗に貼る方法も覚えました。
どちらも最初は、ひとつの展示台をつくるために必要になった技術です。
でも、展示が終わっても道具と経験は残ります。
木材を切れる。
壁紙を貼れる。
簡単な構造物なら、自分たちでつくれる。
そこまでできるようになると、
「じゃあ、ギャラリーの中に壁をつくることもできるんじゃないか」
となりました。
ひとつの展示のために覚えたことが、次の展示でできることを増やしていく。
振り返ってみると、「月と太陽」は、それまでaLでやってきたことが少しずつつながって、展示空間そのものを変えるところまで発展した展示だったのかもしれません。
そして、10日後。
そうして出来上がった「月と太陽」の展示空間ですが、当然これは常設の内装ではありません。
aLの展示期間は10日間。
つまり、
10日間のためにつくった壁です。

展示が終われば、次の展示があります。壁紙を剥がし、つくった壁を解体して、木材を片付ければ元通り。
そこまでは想定していました。
想定していなかったのが、石膏ボードです。
今回、壁をつくるために使った石膏ボードも、解体したら普通に処分すればいいと思っていました。
ところが、撤去する段階になって気づきます。
石膏ボードって、普通には捨てられないんですね。
壁のつくり方は一生懸命調べたのに、壁の捨て方までは調べていませんでした。
展示空間をつくるところまでは良かった。10日間の展示も無事に終わり、壁も予定どおり解体できました。
そして最後に残った、大量の石膏ボード。
ここから、思っていた以上に大変な「壁を捨てる」という仕事が始まることになります。
何かをつくるなら、最後にどうやって捨てるのかまで考えておく。
展示のつくり方だけでなく、展示の終わらせ方まで考える。
そんな当たり前のことを、この展示で学びました。
月と太陽 福岡ゆらり・オカユウリ ≒ duo Exhibition
企画・文:aL
構成・編集協力:ChatGPT