V.aLは、どうして今の形になったのか。

林ほのかさんの個展「レモンオレンジ」を開催した頃、V.aLもひとつの転換点を迎えました。

それまで映像のディレクションを担当していた人間がいなくなり、これからV.aLをどうするかを考えなければならなくなったからです。

とはいえ、それまでの人生で映像のディレクションなんてやったことがありません。

でも、やる人がいない。

じゃあ、やってみるか。

そんなところから、新しいV.aLをつくり始めることになりました。

長いインタビュー、本当に見るだろうか

それまでのV.aLでは、作家へのインタビューを比較的長い動画として制作していました。

もちろん、作家自身の言葉をしっかり聞けるという意味では、長いインタビューにも価値があります。

ただ、自分たちでつくりながら、

「これ、最後まで見てもらうのはなかなか難しいよな」

とも感じていました。

だったら、最初からショート動画を中心にしてしまおう。

それまで30秒程度だったショート動画を1分ほどに伸ばし、その中で作家のことが伝わる映像をつくる方向へ切り替えました。

インタビュー自体は残します。

ただし、その全部を見せるのではなく、作家を表すキーになりそうな言葉を拾い、その音声を1分の中に入れていく。

現在のV.aLの基本的な形は、ここから始まりました。

作家の好きな音楽を聞く

ショート動画をつくっていく中で、映像だけではなく音楽についても考えるようになりました。

そこで撮影時に、

「どんな音楽が好きですか?」

と作家さんに聞くことにしました。

その答えをヒントにして、AIによる音楽生成サービス「Suno」を使い、その作家や映像に合う音楽をつくってみる。

最初はBGMとしての使い方でしたが、Sunoは歌もつくることができます。

だったら、歌わせる言葉も作家自身からつくれないだろうか。

ここから、さらに少し変な方向へ進みます。

インタビューが、歌になる

撮影したインタビューを文字起こしして、その中から作家を表していると思う言葉を拾う。

その内容をもとに歌詞として再構成し、さらに英語の歌詞へ変換します。

そして、その歌詞をSunoで生成した楽曲に歌わせる。

つまり、V.aLで流れている曲は、単に映像に合いそうなBGMを選んでいるだけではありません。

作家が話したことが、形を変えて歌の中にも入っています。

インタビューの声として作家の言葉を聞き、その言葉から生まれた歌が同じ映像の中で流れる。

AIを使うようになったことで、映像とインタビューと音楽を、以前とは違う形でつなげられるようになりました。

それでも、1分は長い

とはいえ、1分のショート動画にしたからといって、最後まで見てもらえるわけではありません。

実際の視聴状況を見ると、30秒程度までは比較的見てもらえる。

これは悪くない。

でも、できれば最後まで見てほしい。

そこで考えたのが、

「最後まで見たら、何かひとつ持って帰れるようにしよう」

ということでした。

最後に、四字熟語。

インタビューの内容や、その作家さんの個性を考えながら、最後にひとつの四字熟語を選びます。

そして動画の最後に、その四字熟語と意味を辞書のようなデザインで表示する。

最後まで見ると、その作家を表すひとつの言葉にたどり着く。

ついでに、知らない四字熟語だったら、ひとつ知識も増える。

そんな小さな仕掛けを入れるようになりました。

インタビューを撮る。

その言葉から歌詞をつくる。

作家の好きな音楽をヒントにAIで曲をつくる。

そして最後には、その人を表す四字熟語を置く。

最初からこのフォーマットを考えていたわけではありません。

つくって、見てもらって、数字を見て、「じゃあ次はどうしよう」と考える。

それを繰り返していたら、今のV.aLになりました。

まだ、完成ではない

今のところ、1分のショート動画を最後まで見てもらうことは、やっぱり簡単ではありません。

四字熟語を最後に入れたからといって、それだけですべて解決するとも思っていません。

でも、30秒見てもらえるなら、次は31秒。

31秒になったら、その次を考える。

V.aLの形も、たぶんこれからまた変わります。

映像をつくること自体が目的ではなく、作家のことを少しでも知ってもらうために、どんな形なら見てもらえるのか。

やったことのないディレクションを「やってみるか」から始めたV.aLは、今もそんなことを考えながらつくっています。


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企画・文:aL
構成・編集協力:ChatGPT